ソーシャル・メディアとSNSは同一の事を指していない、という意見・主張があるようですが。それは一見正しいけど本質をとらえていない表面的な差異を述べているに過ぎないのではないでしょうか。
そもそも両者を比較する前に、ソーシャルメディアとマスメディアの比較が隠れた前提です。つまり順番は交代しますが、歴史的には一方的報道であるマスメディア(新聞、TV、ラジオ)と社交性を武器に双方向なコミュニケーションをはかるソーシャル・メディア。この両者において社会的影響力が逆転しようとしている動きを前提に考えなくてはなりません。
そしてソーシャル・メディアとSNS。集合で考えると前者は親であり後者は子にあたります。でも報道なりコミュニケーションを担うメディアの本質は「広告機能」である事は資本主義社会において否定できません。そして広告機能の優位性・現状での実力においてSNSはソーシャル・メディアの代名詞となってもおかしくはないのです。
ソーシャル・メディア(親)を超えんとするSNS(子の一部)
ソーシャル・メディアは電子掲示板(2ch のようなBBS)やブログを皮切りに、社会的影響力(ひいては広告力とそれに伴う経営展開)を短期間で増大させてきました。さらにSNSの台頭によってソーシャル・メディアは既存の報道主体であるマスメディアを超えようとしています、広告力(≒広告収入)において。
マスメディア(一方的な報道)があった
本来、マスメディアの目的は報道ではなく広告収入です。前者は手段、後者が本来の目的、利潤の追求と資本蓄積の欲求に応える欲してやまないものです。
一般的には勘違いされることがありますが、日本は資本主義社会です。なので、それは非難されるべき事情ではありません。
とにかく、国民全体をターゲットとした報道という社会的影響力・社会的使命を果たすことで、広告収入の追及は成功し数十年マスメディア企業としての存続・成長を続けることができました。でもソーシャル・メディアの出現により広告というパイの分け前を減らしつつあります。
新聞
新聞の主な収入源は購読料です。広告収入も金額的には大きいですがそれでも営業収益に占めるパーセンテージはTVほど高くありません。報道という場合スピード(速報性)はTVに若干劣るものの権威があるのは新聞でしょうか。
(※なお新聞社もネット(web)で速報性を十分カバーしています)。
TV(テレビ)
テレビジョン経営は企業によるものの売上の80%程を広告収入で得ています。マスメディアの広告力と言う場合、テレビは代名詞的な存在です。なお以上のくくりは寡占的な民間放送局にのみあてはまります、NHKは非営利の国営企業です。
ラジオ
根強いラジオ視聴のファンがいますが、若い人にはラジオよりむしろRadicoがとっつきやすい印象もあります。メディアの力は前の2つより小さいためこの記事では話題から外すことにします。
その他
- 雑誌
- 広告媒体(カタログやフリーペーパー等)
双方向的なメディア(媒体)、ソーシャルメディアの成立
BBS(電子掲示板)、ブログ、書評(※ネットショップなどでの)、ポッドキャスト、動画投稿・共有サイト、画像投稿・共有サイト。
これらは皆ソーシャル・メディアの子としての立場にあります。その点、後発のSNS(Social Networking Service)と同じです。そしてソーシャル・メディアの子供達のほとんどは広告を収入源の大半もしくは一部として経営活動の拠り所としています。
メディアの本質
繰り返しになりますが、営利メディアの本質は広告収入を得ることによる企業的存続・発展です。この点に関しては疑いがないので反論はうけつけません、日本は資本主義国家ですので。また企業の本質は利益追求と資本の蓄積ですので。営利メディアにおける報道は社会的目的だとうたっていても、あくまで二次的な手段に相当します(広告収入を得るための)。
1.広告
広告による金儲けは悪い事でしょうか?でももし報道だけして広告を挟まなくては数ある民放局はすべて国営企業として税金で運営しないと経営がなりたたなくなります。NHKのように。ですから広告力・広告収入の追及はメディアという存在において本源的・一義的なものなのです。
2.報道
社会的意義と言う意味では、国民に大きな利益があります。でも企業にとっては手段に過ぎません。ここを履き違えると結果的にはSNSとソーシャルメディアの区別を曲解してとらえる事に陥ります。
3.権威
社会的影響力・発言力というのは、広告力や広告収入を得るためのパワーとなります。従来は新聞・TVが代表的なパワーの持ち主でしたが、近年ソーシャル・メディアひいてはSNSがそのパワーの担い手、代名詞となりつつあります。いかなるメディアにおいても、権威なくしては広告塔とはなりえず従って権威を失墜させるようではメディアとしての存続そのものを脅かされます。
SNSの台頭(たいとう)
SNSはその実力(社会的影響力)をもってして、事実上ソーシャル・メディアの代名詞のように扱われても恥ずかしくない存在となってきています。そういう意味でソーシャルメディアとSNSを同一視するのはあながち間違いではありません。
- LINE
- Google +
- etc…
SNSを使いこなす人でも毎日使うとなると2つかせいぜい3つ程度でしょう。通常は自分にあった一つのSNSをソーシャル・メディアとして使うのが現実的な使い方です。そしてSNS以外の既存ソーシャル・メディアに見向きもしなくなった人たち=SNS民にとって、SNSは事実上ソーシャル・メディアと「同義語」なのです。
一般的な定義、を吹聴する一部勢力の隠れた願望
ソーシャル・メディアとSNSは違うものである、混同しないようにすべきである。などと言う人たちがいるようですが。一体どこの勢力に属しているのか、私は勘ぐりたくなります。言葉の定義、概念的な意味(集合論で考えてもいいです)では、ソーシャルメディアは親集合、SNSは確かに子集合です。でも集合論で考えてみれば論理的にはっきりしますが(笑)、SNS以外の部分集合が事実上空集合であると認識しているSNS民にとっては・・・
ソーシャルメディア=SNSなのです。
SNSを恐れている
SNSが台頭するとマズイ立場の人たちなのでは、と勘ぐってしまいます。自己主張は結構なのですが、相手の立場(※ここでは両者を同一視する主体=SNS民の立場)にたった論理展開も並行して主張すべきなのではないでしょうか。
逆にそれだけSNSの脅威をうかがわせます。でもその感覚は正しいと思いますよ。今や零細個人、中小はゆうに及ばず、巨大企業においてもSNSの広告力なしに経営存続はかなわないのが実情ですから。
(SNS以外の)ソーシャル・メディアを復権したい
気持ちはわかります。かくいう私も実はSNSって苦手です。リア充が性格的に苦手なせいかもしれませんが。インスタとかSNSから無意識的に外してしまいたくなったりします(※明らかにおかしいのはわかっていても)。
でも、SNSをソーシャルメディアより低く見ようとする性根がいただけません。ソーシャルメディアの復権をもくろむとしても、SNSの実力は正当にかつ客観的に評価すべきです。そしてそうしないと何言ってるの?という拒絶反応を返されかねません。
メディアとして実力のあるのはどちらか
既存のマスメディアに実力の軍配が上がるのは疑いがありません。その証拠に、SNSで発言力を増している行動主体(個人、企業、非営利団体)はマスメディアの報道を半ば無断で「ひきうつして」自分の発言・報道している点が無視できないほど大きな割合を占めているからです。もしくは自画自賛というか報道ではなく広告、客観的な報道ではなくやらせやステマを扱う時には影響力の大きい企業の各種権利を最大限活用して発言力を増しています。
確かにソーシャル・メディアはその双方向性、リアルタイム性、拡散力など既存メディア(マスメディア)にはない特質をもって短期間にその勢力を強めてきました。でも肝心の発言や動画・静止画・テキストなどによる報道は自分達の力によるのか、それとも
「ひきうつし」による無断転載
を力の根源としているのか?神託の秤(はかり)に一度かけてみたいものです。
拡散力
リアルタイム性(及びそのケースでの情報の量と質)でもニュースよりSNSが勝りがちなことが証明されつつあります。特に災害時におけるSNSの情報力、拡散力を背景としたリアルタイム報道はマスメディア以上の実力を発揮しています。
キュレーションの汚点
マスメディア程実力が無い報道力。ソーシャル・メディアは基本個人対個人(ここでは個人は法人も含むとする)のつながり・コミュニケーションを力の源としている為。報道のリソースに力を集中しているマスメディアには劣るはずなのに、拡散力を武器にキュレーションは質の低い報道(記事)を乱発しました。
当サイトが認識するSNS
ガチなSNSと呼べるのはフェイスブックでしょうか。世界的にもその利用者数においてはSNSの筆頭として利用されています。
LINE
日本限定では圧倒的な支持を得いています。LINE(ライン)がなくては生活がなりたたない日本人が結構存在していても不思議ではないようです。ID同士の通話利用ができるという点では似たサービスにスカイプ(Skype)がありますが、LINEが成功してSkypeが支持を得なかったのは時代の流れによる時期的な要因が多いのでは、と当サイトでは考えています。
世界的にはLINEの勢力はそれほどでもないようで、むしろwhatsApp(米国企業)とかwechat(中国企業)などの方が利用者数が圧倒的に多いのです。
インスタ
Instagram(インスタグラム)はSNSやソーシャルメディアとしては異質なサービスです。というのは報道というのは通常文字をベースに行われるものだからです。映像や写真の助けがあったとしても、文字(テキスト)がなくては報道という考えを伝達し時には納得させる方法は成り立たないと従来は考えられていました。その既存概念を打ち破ったSNSが画像主体SNSのインスタグラムです。
Twitter公式はツイッターがSNSであることを否定しているようです。でも当サイトではSNSの一部としてカウントすることにします。拡散力、報道、広告・・・といった属性においてSNSとの親和性が高いことを根拠としています。
公式がSNSを主張
Google+
むしろビッグデータ収集ブログ的な印象を当サイトではぬぐえません。ですから当サイトではSNSの括りに入れたくありません。でもビジネスに携わる人には人気のSNSです。
廃(すた)れ気味
mixi(ミクシー)
かつてほどではないですが、今でも使い続けているコアなユーザーは結構いるようです。SNSの代名詞としては確かに廃れた印象がぬぐえませんが。
モバイル対応時に順調な経営転換ができなかったようで、後発の各種SNSに代名詞的地位を事実上奪われました。
当サイトが見出した、両者の差異
既に主張し論理的に証明したようにメディアの本質は「広告」です。そしてSNSもその経営の本源を広告料から得ています。でもソーシャル・メディアの中で先発的なソーシャルら(BBS, ブログ等)と後発的なSNSとはある違いが明瞭に見受けられます。ここでは両者の差異を抽出することにします。
旧来のソーシャルメディアにみられる共通した型
※はじめに部屋がある
先発的なソーシャル・メディアはどれも参加型のメディアです。つまり部屋のようなものが仮想的・電子的に与えられてコミュニケーションをスタートするという形式になっています。その事により以下の特徴があります。
誰かとコミュニケートするハードルの低さ
部屋に入れば参加できる電子的なコミュニケーション・ツールとしてのメディア。それが初期のソーシャル・メディアにおける特徴です。部屋に入れば誰かが既に居る状態。部屋の住人同士の会話(電子的な双方向コミュニケーション)は始めるのにハードルが低いという特質をもっています。
例
BBS(電子掲示板)
- テーマ
- カテゴリー
そういった「部屋」に入ることで不特定多数との会話に参加できます。その部屋は直接URLでBBSトップから入ることもできますが、BBS全盛期の当時は検索エンジン(Yahoo! とか Google)でテーマやカテゴリーを見つけることもできました。そして簡単に見つけられるほどBBSの報道力が大きかった(それは今でもそう)のです。
書評
ネットショップサイトとかネット書店での書評はある意味ソーシャル・メディアを成しています。若干ステマ気味、広告めいた書評(という報道形態)も結構あるようではありますが、書評はソーシャル・メディアと呼んでよいのではないでしょうか。
ブログも実は
ブログは主に個人の日記をweb(ウェブ)上に公開するものですが、実はブログにも部屋があります。それはブログ企業のドメイン・パワーを基礎とした「みつけられやすさ」「注目されやすさ」です。それは実質的に部屋として機能しています。
ドメインの強さ、という部屋があるし、ブログサービスのトップページ配下では強い報道性、一覧性があります。なのでブログユーザーは容易に部屋に参加しやすいし、リツイートのような返信も受け取りやすい環境にいるわけです。
ドメインパワーによって、個人の投稿すら不特定大多数の目に留まりやすい。そしてトラックバックによってソーシャル・メディアとしての双方向的な会話が成立します。容易につながりやすいといいかえてもいいでしょう。
広告を嫌う(建前)
- 無料サービスの建前
- 商用利用を嫌悪
企業の本質が利益追求にあるのは疑いのない事実ですが、それを前面に押し出すと経営が脅かされるというのもまた真理です。とりわけ先発的なソーシャル・メディアは不特定多数の広告を嫌う方針をたびたびとってきました。つまり企業広告は受け付けるのですがユーザーの広告利用は部分的・全面的に拒否することでソーシャル・メディアとしての体面を保ってきた感があります。
新勢力SNSの型
※友人とのコミュニケーション、という建前
SNSではどれも基本的にゼロからのスタートです。つまり誰ともつながっていない状態からのスタートである点が、先発的なソーシャル・メディアとは異なります。逆に言えばBBSやブログはドメインパワーという部屋を付与していた点では既存勢力のマスメディアに近かったという事でもあります。でもSNSはそうした「部屋を与える」スタンスをとらなかった事で逆に、徹底的にマスメディアそして既存ソーシャルメディアを脅かす存在に上り詰めたとというのが正解です。
一人投稿
- 続けられる
- 興味をひかなければそのまま
- 積極的に行動しなければそのまま
- ギブアンドテイク、でのつながり方
フォロワー数という権威
- 社会的発言力
- 影響力
- その道、の権威
- 広告塔
広告に利用される
※メディアとしての宿命でもある
- 個人も利用可能
- 企業も積極的に利用
- メディアと広告のあいまいな境界
営利性を増すSNS
ソーシャルメディアであってSNSとは呼びにくいもの
でも機能的には大きな差はないのかもしれません。
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