Qualcomm(クアルコム)の Snapdragon 845、も今話題沸騰中のSoCですね。
ちなみにSoCとは、System-on-a-chip(SOC、SoC)の略です。
SoCに近い意味合いの言葉として、システムLSIという名称が昔からあります。意味合いとしてはコンピュータの各種・別個のIC機器をCPUに限定せずLSIとしてまとめて集積回路にしてしまったイメージですね。
(※上の画像のようなCPU部も、snapdragon 845というSoCにとっては部品、GPUなどと共に主機能をつかさどるパーツ扱いです)
SoCにはCPU以外のいろいろな機器が一つの回路として詰め込まれています。ですがSoCを理解する時のコツは、主要パーツであるCPU(中央演算処理装置)やGPU(グラフィック用処理装置)、そしてAI(人工知能)用回路であるNPUなど高度な専門処理を担う主要パーツを区別して評価することです。
CPU以外の主要ICが組み込まれている=SoC
高度な(優先順位の高い?)構成要素
CPU
最近のスマホに積まれているSoCに組み込まれているCPUは大概8コアのCPUで、それは二階層の構成つまり4コアX2とみなすのが正しいようです。計8個の実CPUですが実質的には2種類のグレードの単CPUの集まりですね。
この構成のCPU(CPUセット?)では、高速処理とあまり速度を要しない処理との分担により最適化・省力化しているとみなすことができます。
キャッシュメモリ(一次、二次、三次)
キャッシュメモリがスペック表に記載されることはまずありません(特にスマホのCPU)が、確実にSoC(というよりはその内部のCPU)に組み込まれています。ある意味CPU処理速度を決め手となる小規模だが超高速で高価な記憶装置です。
構成に応じて各CPUコア内部あるいは近傍に個別配置されたり、コア階層の近傍に配置(共有)されていると推測してよいでしょう。一般的には物理的に距離が短い回路構成の方がナノプロセス工程的には厳しいものの回路的には高速な情報のやりとりが可能であるし消費熱量も少ない傾向があります。
主記憶メモリー、RAM
現物をこの目で確かめた訳ではないので確証はありませんが多分SoC上に回路として搭載されているでしょう。キャッシュほどではないにせよ高速な情報交換が必要な電子部品ですから。近傍に組み込むのが正解です。
両者(CPUとRAM)を仲立ちするChip Set (上の高速部分)がSoC上にあるなら、RAMはSoC上にあるはずである、とも予測できます。
GPU
3D画像処理・及び2Dのための行列計算、ベクトル計算をつかさどるグラフィックス専用のハードウェア(プロセッサ)です。個人的な感想ですがCPUとGPUともに発熱体ともいうべきプロセッサをおなじ回路上に積み込みなおかつ発熱を実用レベルに抑えているのは特筆すべきだと思います。
3D計算(2Dも)、それらを扱うAPI(命令セット)も組み込まれています。具体的には(これはsnapdragon 845の例ですが)
- OpenGL ES3.2
- DirectX 12
なおOpenGLはwebGLにも対応していますのでjavascriptでの記述つまりWebブラウザ上でも動きます。しかもandroid端末でも仮想マシンを原因とする処理遅延はほとんどないようです。HW抽象化を前提としたHW(ハードウェア)直接駆動ができるGPUならではのメリットですね。
チップセット
チップセットは機能的には2つのクラスに分割できます(※回路自体が分かれているとは限りません)。
- GPU,RAM 用高速IO用チップセット
- 低速度用IO用チップセット
前者は主にCPUやRAMそしてGPUのように高速処理が必要なプロセッサのための制御回路部分を担当します。
その他
AIなどのプロセッサについてはどうなのかわかりませんが。小規模ながら高速処理は必要になるでしょう。
後者の低速用各種I/Oはそれ以外といってよいでしょう。IOはインプット・アウトプット(及びそのインターフェイス)を意味しますが、要はさまざまな外部機器を意味しています。その他大勢の機能・機器についての制御回路、ですね。
高速なインターフェイス
RAM(主メモリー)とCPU(コンピュータの頭脳、端的には前頭葉)は高速な情報交換が必須なのでチップセットの高速部で制御しないと追いつきません。
GPUとのやり取り、も同様になります。画像メモリの転送はとりわけ処理が重いのです。テクスチャ処理とかピクセルシェーダーにかかわる転送処理ですね。3D演算は最近はそれほどでもありませんが物理演算とかはやはり重い処理のようです。
その他の構成要素
低速IO用インターフェイス
☆すべての機器そのものがSoCに入っているのでは、多分ないと認識して良いと考えます。むしろ主要ICとか主要回路、ないしはバッファー周りでしょう。
Wi-Fi
=>これに関しては参考文献の上にさもSoCに組み込まれているかのごとくなイメージ図が載っています。でもこういう場合はそうしたあいまいな情報を鵜呑みにしてはいけないのですよ、実物を自分の目で見たのでない以上は。
第一、スマホは各種部品からなっており明確な分業体制のもと製造されています。企業によりその得意分野も異なるわけであり。Wi-Fiのような通信機器とCPU/GPUのような高性能プロセッサーとは明らかに畑違いであります。
話がちょっとそれますが
ICとはIoTのはるか昔からあるコンピュータ機器同士の通信手段・通信主体であります。それ自体が小型コンピュータであり、機器どうしの通信には各機器備え付けのICが必ず関与しています。制御装置と考えてよいですね。
だからといってTCP/IP通信は行っていません。どちらかというと小規模なコマンド(専用マシン語命令)とデータ引数、およびコマンドの種類を合図する暗号などのやりとり(IC同士の送受信)です。
推測するところ、Wi-Fi用の基幹ICに関わる回路が組み込まれているのでは?それと通信用のバッファー(コマンド用メモリー)とかがSoCには積まれているがWi-Fi機器自体は外側にあるのではないだろうか?あくまで個人的な推測ですが。
Bluetooth
audio
NFC
らの、おそらくバッファー(メモリ)周りや制御回路部であり、それらの装置そのものは入っていないと推測します。さすがにSoC製造企業にそこまでの義理はないといいますか。インターフェイス(接続部)どまりでしょうね。
別口(スマホならでは)
ネットや電話のインターフェイスとバッファー。まさかSoCにLTEや4G、VoLTEの通信回路自体が組み込まれているとは考えにくいのです。せいぜいバッファーやインターフェイス(IF)どまりでしょう。
LTE Modem
LTE、4G、5G? のための最小限のインターフェイス部、バッファー周り。
その他
DSP
- 圧縮/伸展
- FFTや積和演算
音声や画像データ処理をつかさどっているのがDSPと呼ばれるプロセッサです。大量のデータを高速処理するためのマルチメディア(死語)専用のプロセッサがDSPのようです、SoC上にあります。
ISPパイプライン
Image Signal Processing (ISP) Pipelineといいます。
カメラ自体が入っているのではなく(同様な推測なのですが常識的に考えても明らか、それにスマホ背面のダブルカメラは目視できてますよね)。
でも画素単位の処理をするプロセッサとしてのISPおよびそれのパイプライン(制御装置や通信手段としての回路・バッファー)はSoC上に組み込まれている事でしょう。
セキュリティ(Security)用IC、SPU
セキュリティ用途のプロセッサがどんなものか私は詳しくないのですが、ほぼ確実にSoCに組み込まれている事でしょう。それ専用の特殊な処理をおこなうのでしょうが、そんなに大規模な回路ではないと予想します。
まとめ
主にCPU、GPU、及び高速チップセット
Modem
ネット接続、通話のための送受信などを担当?
通信機器「全部」ではないのでは?との予測はすでに述べました。
スマホ特有の
カメラ、はかなり重要な機器です。でもさすがにSoCには搭載できません。
動画・音楽用の専属ICとしてSoC上に組み込まれているでしょうね。
スマホ用各種IO
のためのインターフェイス
及び一部バッファー
スマホ時代の先を見据えた?
AI用専用プロセッサー(名称不明)、NPU?
話題のAI(artificial intelligence、AI)、人工知能ですね。専用のプロセッサーを用いているようですが一種類というわけでもないようです。企業によって異なる方式でAI用回路を実装してます。
また、用途に応じてAIの使い方が違ってきますね。カメラの撮影用、生体認証用、会話処理用など。
一般に低速な各種IO
いろいろつなげる機器にたいしてのインターフェイス部です。チップセットの低速部。SoC上にあるのは各機器のIF部であって各機器そのものでありません(極一部の機器を除いて)。
PCでいうところの
PC時代にはCPUやGPUは通常別の高集積な専用IC(回路)であり特にGPUは高熱を持つため冷却装置と一体化することはあってもCPUと一体化して暖めあうなど考えも及びませんでした。
スマホでは廃熱機構が積み難い事情(サイズ制限等)があるため、はじめから省力?というか発熱を抑えたIC製造技術が逆に両者を一体化するという発想に結びついたと私は推測してます。
・・・まじめに調べたわけではないですが、想像に難くないです。
CPU
最優先でSoC上にあります、中央演算処理装置。加えてそのキャッシュメモリ。ちなみに最近のスマホは4コアないしは4X2=8コアが圧倒的に多いです。
GPU
製造技術に余裕ができたのでしょう、ナノ(nm)プロセスの精細化は10nm(ナノメートル=10のマイナス9乗)前後レベルに。
チップセット(制御回路セット)
高速部は
旧:ノース(北、上)ブリッジ、などと呼称
低速
旧:サウス(南、低速)ブリッジ、などと呼称
物理的に分かれているとは限らないが、役割は明らかに二分すべきものです。
RAM(主メモリー)
補足説明
低速IOとは、主メモリ(RAM)とGPU以外
通話やネット用のモデム?LTE Modemとリンク先のPDFには記載されていますが。
Webの記事発表ではしばしば「提供」であり「搭載」ではないことから明らかに機器そのものが詰まれているのではなくインターフェイスとバッファー周り、制御部限定なのでしょう。
構成的には通話・ネット通信部は3つ目のチップセットなのかもしれません。
誤解を避けるにあたって
☆全ての機能がSoCに組み込まれている、訳が無いという考え。
理由
スマホの大きさには余裕がある
発熱回避
ダイサイズの限界
適材適所
最低限の必要構成
CPU+GPU+チップセット
あと恐らくRAM
最近話題のAI専用プロセッサ
それ以外
音声・画像=マルチメディア(死語)用の処理ICやバッファー
カメラ用のイメージセンサーとか画素用IC
生体認証とかではISPを流用
スマホ通信用IC、modem用
基幹IC、とバッファー
※ちなみにバッファーとは小容量のデータ(コマンドやその引数)をやり取りするための一時的かつ小規模な記憶装置のことです。
参考資料
wikipedia、少々。英文も読んでみたが情報が少ない。
・参考したPDF
https://www.qualcomm.com/products/snapdragon-670-mobile-platform
https://www.qualcomm.com/products/snapdragon-845-mobile-platform